更新日:2022年8月26日
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こんにちは。校長の内田です。
もう夏休みも残り一週間となりました。あっという間に終わりそうです。生徒のみなさんはどのように過ごしているのかなぁ。たくさんいい思い出を作ってくれているといいんですけど。先生方は夏休みだからと言って、すべてお休みではありません。先生方の夏休み(夏季休暇と言います)は原則5日間。どこで取得するかは個人の自由です。と言っても、なかなか進路の仕事や部活動等があって、自由にってわけにはいきません。私は、学校閉庁日(学校が完全に閉まる日)というのが8月12日(金曜)、15日(月曜)に設定されているので、その日は夏季休暇の2日を使いました。まだ3日も残ってます。
さて、今日は「やさしい日本語」というお話です。
研修で「やさしい日本語研修会」に参加してきました。なぜ参加したかというと、自分の言葉がちゃんと相手に伝わっているんだろうか…って思ったからです。うちの学校には200人近い外国につながりのある生徒がいます。21カ国、15言語。日本に来てから間もない人もいて、難しい日本語は理解するのが難しい人もいます。優しい日本語で話せばわかるのに、あえて難しい言葉を使ってはいないかぁと思いました。
本当は対面で行う予定だったのですが、新型コロナウイルス感染の第7波の真っ最中ということで、オンラインになりました。これがまた、相手に言葉が伝わりにくくなりますね。いい勉強でした。
始まりは自己紹介と「次の言葉を別の言葉で言ってください」という問いです。
「軽自動車」、「予防接種」、「デイサービス」等。
私も当てられて答えましたよ。軽自動車…エンジンが660cc以下の小さな車。詳しく話しましたが、ただの小さな車でもよかったかもしれません。予防接種は病気にかからないように打つ注射等。デイサービスは…。ぜひ、考えてみてください。
問いはさらに続きます。【例です】
問1次の文を読みなさい。 仏教は東南アジア、東アジアに、キリスト教はヨーロッパ、南北アメリカ、オセアニアに、イスラム教は…(後略) この文脈において、以下の文中の空欄にあてはまる最も適当なものを選択肢のうちから1つ選びなさい。 オセアニアに広がっているのは()である 1:ヒンドゥー教2:キリスト教3:仏教4:イスラム教 |
答えは文の中に書いてあって、すぐに2番ということがわかります。でも、この正答は中学校で62%。高校で72%だそうです。(驚)
どこで引っかかっているのでしょう?固有名詞(東南アジア、オセアニア等)はやさしくはなかなかできません。「文脈」、「空欄」「適当」、「選択肢」ですかね。私ならこう作ります(作ってました)。
「次の文の()に入る正しいものを1~4のうちから一つ選びなさい。」これで通じませんか?たぶん通じると思います。
特に行政文書(役所などが出す文書)は専門用語も多く、とても分かりづらいことが多いです。
【例K市HPより老齢基礎年金】
国民年金保険料を納めた期間(保険料免除期間、納付猶予期間、学生納付特例期間を含む)が原則として10年以上ある方が、65歳になった時に支給されます。年金額は、20歳から60歳までの40年間(月480円)すべて保健料を納めている場合に満額の777,800円(令和4年4月からの額)となります。
なお、保険料を納めていない期間や保険料免除期間がある場合、その期間に応じて減額された年金額となります。(後略計算式、但し書き等がその後にあります) |
この文書で何が言いたいかわかりますか?これでもわかりやすく書いているはずなのですが…。元々、わかりずらいシステムなのに、難しい言葉もあり、さらにわかりにくくしています。
問題は、1.分量が多いこと、2.間接的な言い方:抽象的な言い回し、3.法律文の借用:固いお知らせ、4.整理整頓不順ですね。
もう少し簡潔にしてくれたらいいのに…。箇条書きの方がわかりやすいかもしれません。
老齢年金がもらえる方 1:国民年金の保険料を10年以上払っている方 10年には、次の期間も含まれます
2:もらえる年齢は65歳からです 3:もらえる金額は最高額で777,800円です(2022年4月からの額) ただし、最高額をもらえるのは、20歳から60歳まで月480円を払った方です 4:わからないことは○○市役所〇〇課担当○○まで連絡してください |
どうでしょう?どっちがわかりやすいですかね。書いてあることはほぼ同じです。細かいことを書いてもわからないので、あえてお知らせくださいとしておきました。
今日の最後です。
敬語についてです。敬語は、日本語の素敵なところですね。外国語で敬語がある言語はそんなに多くはありません。その反面、難しいところでもあります。私自身「尊敬語」、「謙譲語」、「丁寧語」をきちんと理解して、使い分けられてるかどうか疑問です。
尊敬語とは、目上の人や自分より立場の上の人を敬い、相手を立てる気持ちを表します。
謙譲語とは、自分がへりくだることで、相手を立て、敬意を表します。
丁寧語とは、誰に対しても使える言葉で。語尾に「です」、「ます」を付けたり、言葉の先頭に「お」や「ご」を付け、言い回しを丁寧にして敬意を表します。
例えば
「する」尊敬語…なさる、される謙譲語…させていただく丁寧語…します
「見る」尊敬語…ご覧になる謙譲語…拝見する丁寧語…見ます
「読む」尊敬語…お読みになる謙譲語…拝読する丁寧語…読みます
やさしい日本語では基本「丁寧語」です。尊敬語・謙譲語は使いません。
やさしい日本語は外国につながりのある子どもたちのためだけではありません。お年寄りにも優しいし、ちいさな子どもたちにもやさしい。うちの学校の授業でもわかりやすい授業をするために必要です。やさしい日本語は、まさにユニバーサルデザインです。
まだまだ書きたいことはありますが、長くなってきたのでこの辺で終わりにします。この年になっても、知らなかったこと、間違いに気づいたこと、たくさんありました。まだまだ勉強不足です。これからも様々なことを勉強していかないと。
今日はここまでです(了)
おまけ
横浜市や町田市はこの「やさしい日本語」の取り組みがとても進んでいます。横浜市は「優しい日本語」で伝える、町田市は「見直そう!伝わる日本語推進運動」を行っています。ネットで調べればすぐに出てくると思います。ぜひ、一度見てみてください。
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