更新日:2022年9月2日
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こんにちは。校長の内田です。
夏休みもあっという間に終わりました。もう9月です。少し前までセミの鳴き声がうるさいなぁと思っていましたが、いつの間にかセミの鳴き声は聞こえなくなり、耳を澄ますとコオロギなどの秋の虫が鳴いています。やっぱり季節は少しずつ進んでいますね。
学校に生徒たちが帰ってきました。みんな元気で来ているかなぁ…そんな気持ちで教室を回りました。たくさんの生徒たちが来ていてひと安心。2学期は少し長いけど、9月は来年度に向けての「履修ガイダンス」があったり、9月の末には、2年生は宿泊研修、3年生は修学旅行があります。1、4年生は秋休み。2学期の始まりはちょっとのんびり、ちょっとバタバタって感じでしょうか。
さて、今日はユニバーサルデザインのことを書きたいと思います。
そもそも「ユニバーサルデザイン」って何よ?ってお話です。「ユニバーサル」とは「すべてに共通の」、「普遍的な」という意味で、ユニバーサルデザインを日本語に言い換えると、「すべての人のためのデザイン」、「みんなに優しいデザイン」ということになります。これは形あるものだけをさしているのではありません。
社会には、子どもから成人、お年寄り、男性・女性、外国人、車いすを利用する人、視覚障害や聴覚障害がある人、外観ではわかりにくい障害がある人、体の弱い人、妊産婦、LGBTQ+の人…様々な人がいます。
ユニバーサルデザインとは、こうした年齢、性別、国籍、信条、身体の状況等、人々の様々な個性や違いにかかわらず、最初から誰しもが使いやすく、暮らしやすい社会になるよう、建物、物、仕組、サービスを提供しようとする考え方です。
バリアフリーとどこが違う?バリアフリーはバリア(障壁)を取り除くという意味で特定の人が対象です。例えば車いすに乗った人は階段を上り下りできないので、スロープを設置するとかがそれにあたります。どちらかと言えば困っている人がいて、後からそれを取り除こうとする考え方で、最初からみんなにやさしく、誰でもが使いやすいものをデザインしていくというユニバーサルデザインとは大きく異なります。
ユニバーサルデザインには7つの原則があるといわれています。
1誰にでも公平に使用できること
・誰にでも利用できるように作られており、かつ、容易に入手できること
2使う上で自由度が高いこと
・使う人の様々な好みや能力に合うように作られていること
3使い方が簡単ですぐにわかること
・使う人の経験や知識、言語能力、集中力に関係なく、使い方がわかりやすいこと
4必要な情報がすぐに理解できること
・使用状況や使う人の視覚・聴覚などの感覚能力に関係なく、必要な情報が効果的に伝わるように作られていること
5うっかりミスや危険につながらないデザインであること
・意図しない行動が、危険や思わぬ結果につながらないように作られていること
6無理な姿勢をとることなく、少ない力でも楽に使用できること
・効率よく、気持ちよく疲れないで使えるようにすること
7アクセスしやすいスペースと大きさを確保すること
・どんな体格や姿勢、移動能力の人にもアクセスしやすく、操作がしやすいこと
こう書いてしまうと難しくなりそうですが、私たちの周りにはたくさんユニバーサルデザインのものがあります。例をいくつか紹介したいと思います。
○幅の広い改札
改札が広ければ、車いす・松葉づえ・ベビーカーを利用している人や旅行で荷物がたくさんある人まで誰もが余裕をもって通過することができます。この広い改札のおかげで、多くに人が駅を利用しやすくなっています。
○ピクトグラム
ピクトグラムとは、一目見ただけで何を指すものなのかがわかるアイコンのような絵文字です。世界には様々な言葉や文字で生活している人がいるため、言語では利用者に目的を伝えられません。どんな国の人でも、まだ字の読めない子どもでも、見れば理解できますね「非常口」「禁煙」「トイレ」のピクトグラムは誰しもが見たことがあると思います。学校の中にもあります。
○シャンプー・リンスのボトル
同じ形のボトル、両者の区別をつけるために、シャンプーの容器のトップに突起がつけられていたり、横にけられています。一時期はメーカーによって突起の場所が異なりましたが、あるメーカーが化粧品業界全体に働きかけたことで、今は容器の同じ位置に突起をつけることで統一されています。視覚障がい者だけでなく、健常者が目をつぶった状態でも使いやすいです。最近はボディソープにもついてます。
○センサー式蛇口
握力の弱い人や障害がある人にも無理なく利用することができます。特に公共のトイレでは、蛇口に触れずに手を洗えるので衛生的です。このコロナ禍の感染対策にも有効ですね。ただシンクの下にスペースがないと車いすの人は手が届かないこともあります。そこまで配慮されていれば最高です。
○補助ボタン付き自動販売機
最近は多くなった補助ボタン付きの自動販売機、車いすの人でも乗ったまま、小さな子どもでも自分でボタンを押すことができます。また、受け皿付きのコイン投入口や商品が取り出しやすい高めの取り出し口なんかがありますね。うちの学校にもあります。
他に多目的トイレ。誰でも使ってよいトイレですが、車いすの人も使いやすい広さで、手すりなどがつけられています。使用後に水を流すのもボタンで操作したりするものが設置されています。また、赤ちゃんがおむつを替えられるシートがあるものもあります。
自動ドアがなんで?って思う人がいるかもしれません。車いすの人は横開きのドアでも、開き戸も開閉がとても大変なんです。重いドアだったらお年寄りや子どもさんも明けられません。
見てすぐわかるのがスロープ。あればいいというもんでもないんです。あまりに勾配がきついと車いすの人は自力で上がれなくなります。建築基準法では「勾配は8分の1以下」となってます。10cmの段差を解消するのに80cmの水平長が必要だということです。
誰もが使いやすいデザイン。それが「ユニバーサルデザイン」です。街中にはたくさんあると思います。見つけてみてください。
「ユニバーサルデザイン」とか、「インクルージョン(インクルーシブ教育)」とか、「ダイバシティ(多様性)」と言いますが、それが当たり前の社会ならそんな言葉すらいらないように思います。まだまだそうなっていないから、実現していきましょうって意味でその言葉があるんだと思います。いつかそんな社会が普通になってくれるといいなぁっていつも思っています。
学校の「ユニバーサルデザイン」を書こうと思いましたが、長くなったので、今日はここまでです。(了)